今年みた映画の感想まとめその2ーー『スターウォーズ』シリーズ

私は『スター・ウォーズ』にはまったく思い入れのない人なので、I,II,IIIの新三部作のときの酷評の嵐も、今回のディズニー傘下でのシリーズ再開の盛り上がりも、傍観者としてヨコから見ているにすぎなかった。しかしVIIIの公開に合わせて日本テレビがVIIをテレビ放映し、ついでにhuluがシリーズ全作を配信(Ⅶは一週間限定)するというので、この機会に見ておこうと思ったのだった。
とはいうもののIV,V,VIは既に見てはおります。しかし劇場へ行った覚えはないので多分TVでやったのを見ただけだと思う。あらためて見てみて、まあ普通に面白い映画ではあるよなあと思った。とくにVが傑出していると思う(お話としては主人公側の敗走なのに、なんだか大団円ぽく終わってるのもおもしろい)。それに比べるとIVは作品世界とキャラクターの紹介に時間を割かなければならない分、お話そのものは単純である。またVIでは、帝国と反乱軍の対立およびルークと皇帝・ダースベーダーの対立についに決着がつくことになるのだが、どっちも「あれ? そんなんでいいの?」という感じが残ってしまう。帝国軍は大仰な装備の割にえらく簡単に死んだり爆発したりするし、皇帝とルークの対決も「挑発に乗って皇帝を力で倒してしまうとダークサイドに堕ちる」という構図にしたいのはわからんでもないのだけど、ルークの方の勝利条件がよくわからないのでなんだかただの我慢くらべみたいに見えちゃったり。
素人考えでいうと、エンドアの戦いではイウォークに小動物特有の残酷さみたいなものがちょっとでも現れてれば、だいぶ違ったんじゃないかな―と思いました。
あと有名なラストシーン、オビワン・ヨーダと並ぶアナキンの霊体がヘイデン・クリステンセンのバージョンだったので、I,II,III未見の私は「だれ?」ってなってしまった。


Ⅰ、Ⅱ、Ⅲいわゆるプリクエルは初見である。評判はいろいろ聞いてはいたものの、それなりに期待して見てみたのですが……残念ながら評判どおりであった。というわけでそれ以来、「なぜプリクエルはつまらないのか?」ということを考えている。
やっぱ最大の理由は、そこにあるのが物語の骨組みだけで、登場人物の感情やら身体性といったものが全くと言っていいほど描かれていないことだろうと思う。
アナキン少年がオビワンたちと出会って故郷を離れることになりました、またパドメと惹かれ合うようになりましたという粗筋が駆け足で説明されるだけで、そのとき彼らが何を思ったか・どう感じたかという描写がほとんどない。もうちょっとなんかこう、込み上げてくる思いとかはないの? と思ってしまう。
ところで私は以前「マハーバーラタ」というインドの神話に熱中して、いろいろ読んだり見たりしたことがあったのだけど、そういった神話のたぐいもまた、たいていは粗筋というか物語の骨組みだけが語られることが多く、人物の感情描写などには重きを置かれないのが普通である。にもかかわらずプリクエルのような不満を感じることがあまりないのはなぜだろう?
これについては仮説めいたものがあるのですが、ちょっと怪しい部分もあるので、もうすこし考えを深めたいと思います。

また場面のほとんどがCGで描かれた背景の前で演じられているせいで、運動の快感や身体の感覚が封じ込められているというのも非常に大きな欠点。チャンバラをして斬られたら痛そうだとか、大きな建物が崩れ落ちてきて危ないとか、そういう感情を起こさせることがほとんどない(わずかに、?のクライマックスでのチャンバラシーンがそれなりにかっこいいくらい)。

んでⅦ「フォースの覚醒」である。スターウォーズ弱者の私ですが、これは面白かった。傑作だと思う。何より1,2,3で失われていた身体性というか、戦って痛いとか、物と物がぶつかって壊れるとか、そういう感覚がきちんと描かれているのが良い。カイロ・レンのフォースの力で光線が空中で止まっちゃったり、奪ったミレニアムファルコンがふらふら飛んでマーケットのテントをぶち壊したり、林の中のライトセーバーのチャンバラで木の枝が切られちゃったり。映画ってやっぱりそういうのが大事なんでないかなー。俳優がグリーンバックの前で当て振りみたいに動いたのを撮影して、あとから背景と合成してできましたっていう画面はどうも苦手なのです。

今回は制作順に4,5,6,1,2,3,7という順番で見たのですが、作り手(というかジョージ・ルーカス)はどういう順番で見てほしいと思っているのだろう? というのも、3の最後でパドメが「私たちの子供たち、ルークとレイア」うんたらって言っちゃうでしょ。これは4,5,6を先に見てるというのが前提だよね。だけど前に書いた通り、6のラストシーンには2,3を見てないと誰だかわかんない人がいきなり現れるんだ。これって多分あちこちいじりすぎて何がなんだかわかんなくなってんじゃないかなー、という気がするのですが。