Lebensansichten des Kater Mugi

牡猫ムギの人生観

今年みた映画の感想まとめ

備忘のためにとりいそぎ。ちなみに今年は映画館に行か(け)なくて、すべて配信で見たものであります。

ベン・アフレック『アルゴ』(2012) まあおもしろかったです。

チャウ・シンチー少林サッカー』(2001) 最高。

マーク・フォースター『ワールドウォーZ』(2013) はい。

ロバート・ロドリゲス+フランク・ミラー『シンシティ 復讐の女神』(2014) 例によっておしゃれである。

ピート・ドクター『インサイド・ヘッド』(2015) すばらしい。ビンボンさんの場面で泣いちゃう。ヨロコビの声をアテたエイミー・ポーラーさんがすごく良く、それに比べると吹替え版の竹内結子はやっぱり力不足に見える。

ギャレス・エドワーズ『モンスターズ/地球外生命体』(2010) 怪獣映画かと思ったらロードムービーでした。

フランシス・フォード・コッポラレインメーカー』(1997) DV被害者役のクレア・デインズさんがきれいだったのでTVシリーズホームランド』を見てみてびっくり。

テッド・コチェフ『ランボー』(1982) 初見。すばらしい。

ジョージ・P・コストマス『ランボー怒りの脱出』(1985) がっかり。最初から敵を殺しまくるのが違和感バリバリ(まあそういう設定なんだけど)。その必要もないのに自分から上半身ハダカになって筋肉を誇示するとか、アホみたい。

ロマン・ポランスキーおとなのけんか』(2011) こういう「上辺だけ仲よさげに振舞っている人々の本音が、だんだん露わになってくる」という趣向の台本は、その「だんだん」の部分が作家のウデの見せ所だと思うのだけど、この作品ではそこんとこ酒を飲ませることで済ませちゃっててちょっとズルいな―と思いました。でも面白かった。

新海誠君の名は。』(2016) まあ面白かったんだけどすごくヘンなシナリオで、なんで東宝のプロデューサー陣がこれでいこう! と思えたのかが非常にフシギ。もっと普通にウェルメイドなお話にはいくらでもできるだろうとおもうのだけど。

新海誠雲のむこう、約束の場所』(2004) こっちはダメダメ。『君の名は。』とほとんど同じ画のカットがあって、ああこの人はこれがやりたいんだなーと思った。

是枝裕和海街diary』(2015) 完全版は初見(前にTVで見た)。ちょっと気になったのが、台詞にやたらと「アレ」という言葉が出てきて、これで台詞の自然さ(とっさに適切な単語が出てこない、とかそういう)を出そうとしているのはわかるんだけど、俳優がその意図をいまいちわかってないように見えること。つまり、たとえば「バイト代入ったらアレするからさあ」という台詞は、「すぐに返済する」というような言葉を(意識的にか無意識にか)避けて「アレ」と言っているわけで、その前後に躊躇なりひっかかりのようなものが必要だと思うのだがそういう芝居をしている人があんまりいない。

アンドリュー・ニコルガタカ』(1997) すばらしい。 非常に静謐で端正で、なんとなく昔のドイツ映画みたいな雰囲気。SFの形式を借りながら特にSF的な意匠をまぶすわけでもなく(住居や職場の建築が近未来っぽいくらい)特に宇宙船に乗るのにスーツにネクタイというのがカッコいい。このアイディア舞台でも使えるよなあ、ていうかこういう芝居やりたかった。ところがamazonやallcinemaのレビューをみると面白くないという人がたくさんいて、こういう人々とはなかなかわかりあえないものだなあ。

ポール・ヴァーホーヴェンロボコップ』(1987) 初見。噂にたがわずグロくて面白かったけど、ようするにこのロボット「銃で撃たれても平気」ていうアドバンテージしか使ってないよね? というところがちょっと不満。2や3ではもっといろんなことができるようになってるのだろうか。チンピラ役の「ER」ロケット・ロマノ(ポール・マクレーン)がヘンな液を浴びて顔がぐちゃぐちゃになって死ぬ。ERではヘリのプロペラに腕ぶった切られてたし大変な人生。

ジョゼ・パリージャ『ロボコップ』(2014) 感情を機械的にコントロールできるっていう設定、イーガンの『宇宙消失』にあったなー。

ラース・フォン・トリアーダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000) 撮り方(編集)にびっくり。映像が作りものっぽく感じるかドキュメンタリーに見えるかというのは、画質とか画面のブレとかよりも編集にかかる部分が大きいのだなあ。普通のミュージカルでは楽しくなるはずの歌のシーンが、この作品では設定のせいで逆にものすごく不吉な雰囲気を帯びるのが新鮮。 ラストシーン、ビョークさんが歌いながら絞首刑になるのでぎょっとしたけど見返してみたらちゃんとカットが分かれていて安堵しました。

ロバート・クローズ『燃えよドラゴン』(1973) ちゃんと見るのは実は初めて。鏡の部屋のシーンとかさすがかっこいい。「Gメン’75」とか、昔のTVドラマっぽいなーと思ったけど、因果関係が逆ですね。この映画も「アクションと衣裳」考察の材料になりそう。

マーク・ウェブ『(500)日のサマー』(2009) オシャレである。よしながふみがインタビューで「普通のお話でも時系列をいじるとミステリーになる」って言ってたけど、まさにそういう感じ。一点だけ、主人公の男がヤケになって会社辞めるときにその仕事をクソミソに言うけど、今まで世話になっといてそういう態度は如何なものかと思う。上司のエージェント・コールソンがかわいそう。『モテキ』の「ベイビークルージングラブ」の場面って、この映画が元ネタだったのね。モテキの方も悪くはなかったけど元祖の方が何倍もいいじゃん。

ザック・スナイダーウォッチメン』(2009) アメコミには不案内なので、バットマンっぽいのやらキャプテン・アメリカめいたのやらが出てくるんだけど、これってこの作品内でのキャラクターだよね? ていう地点からしてわからない。コメディアン(という名前のヒーロー)はワルモノにしか見えないし。wikipediaによると原作からラストが改変されているそうだけど、主要都市を大々的に破壊しときながら「おかげで人類がひとつになったのでよかったです」とかおかしくねえか? と、頭がハテナでいっぱいになってしまった。

ブライアン・シンガーユージュアル・サスペクツ』(1995) ラストでマジかー!ってなる系サスペンス。もう一回見ないとちゃんと感想書けない。

リアン・プーリー『ビヨンド・ザ・エッジ』(2013) エベレスト初登頂を描いたニュージーランドのドキュメンタリー。地味だけどすごく丁寧な映画。

ザック・スナイダー『マン・オブ・スティール』(2013) クリストファー・ノーラン(製作)らしい深刻なスーパーマンで、シリアスなのは構わないしアクションが派手なのはいいんだけど、ちょっと街やらなんやらを無造作に壊し過ぎだと思った。(2017.09.01)

ダニー・ボイルスティーブ・ジョブズ』(2015) 「みんなが期待するカリスマとしてのジョブズ」を描こうとしないのはさすがアーロン・ソーキンという感じ。

トム・マッカーシー『スポットライト 世紀のスクープ』(2015) 『ヤング・ポープ』でもネタになっていたカトリック教会のスキャンダルをスクープした新聞の話。この事件の衝撃の大きさって、日本人にはちょっとわかんないところがあるような気がする。レイチェル・マクアダムスさんがよいと思った。

リドリー・スコットテルマ&ルイーズ』(1991) 非常に真っ当なフェミニズムという感じ。画面がスコーンと抜けが良くて、『明日に向かって撃て』なラストシーンも悲壮感ゼロでカッコいい。

トム・ティクヴァラン・ローラ・ラン』(1998) なんかすごいヤケクソ的な展開でおもしろかった/ひとつ疑問があって、 浮浪者に持って行かれた大金を取り戻して最終的にハッピーエンドになるんだけど、浮浪者はその金で服を買ったり飯食ったりしてるのでちょっと目減りしてるはずなので、それをそのまま親分に渡して大丈夫だったの?

アルフォンソ・キュアロンゼロ・グラビティ』(2013) 劇場公開時すごく見たかった映画なんだけど、huluの配信であらためて「劇場で見るべきだったー!」と思った。

ガース・ジェニングス『SING/シング』(2016) すばらしい。登場人物のそれぞれの歌のシーンがいい感じに中途半端で「もっと聴きたい!」という欲求が最高潮に達するところでクライマックスのコンサートになるという最高の構成。「ナタリー」のインタビューなど見てもわかる通り、吹替え版も原盤と遜色ない出来。

大根仁バクマン。』(2015)  映画オリジナルの結末で「主人公二人は最終的に週刊連載を続ける体力がなく佐藤健の方は入院してしまうがなんとか最後の力を振り絞って1回分を描きその回でアンケート1位を獲ってライバルに勝つ」という一応のハッピーエンドなのだけど、普通の連載漫画家の成功というのはとにかく連載を続けることにあるわけで、1回だけアンケートでライバルに勝ったからと言ってそれが最終的な勝利でないことは当人たちにも見てるこっちにもわかってるのである。だから画面の中でいくら盛り上がっていても「……でもねえ……」と、ちょっと白けてしまう/エンドクレジットの本の並びが(しょうがないとはいえ)元書店員としては気になってしまった。