ランニングを始めてみて思ったこと、あるいは走るための音楽

転職したときの健康診断で太りすぎと言われ、その後食事の量を調節したり自転車で遠出する機会を増やしたり自分なりにいろいろやってみたつもりだったが一向に体重が減る様子はなく、一念発起して早朝のランニングを始めたのが去年(2017年)の3月。その日の日記には「朝駒沢公園をジョギング(1周)。ちょう走れなくなっててびびった」とある。実際3kmを続けて走ることができず、1kmごとに休憩を入れなければならない始末であった。その後……

 4/20 初めて5km走る(31分02秒)。
 5月中旬、左膝に痛みを覚え10日ほどお休み。
 6月、初めての10km走(01:00:17)
 7月、15km(01:37:52)
 7月中旬、右足首周辺に痛み、以後8月頭まで走ったり走らなかったり。
 8月、20km(02:15:20)。当初から使っていたRuntasticというアプリによるとこの日で総走行距離が400kmに達したのだが、このアプリがどうにも使いにくくこれで使い納めにして、翌日からNike+Run Clubに乗り換え。
 8月中旬右足の甲と左膝の下部が痛くなり、またしばらくお休み。
 9月、再開。世田谷ハーフマラソンに応募するも落選してしまったので、来年1月の新宿シティハーフマラソンの10kmの部にエントリー。
 10月 月間の走行距離が初めて100kmを超え138kmに。
 11月 月間150km。
 12/1、それまでは普段履きのただのスニーカーで走っていたのだが、半年以上続いているということで、いよいよasicsのちゃんとしたランニングシューズを買ったのでした。近所のスポーツシューズ店で7,500円ほど。ところが2、3日してふたたび左足首に痛みを覚え、しばらく休養。後に、新しいランニングシューズの靴底の溝に小石(状のもの)が挟まっていたことが痛みの原因だとわかり衝撃を受ける。それで約1か月、また走ったり走らなかったりの日々。12月の走行距離は54km。
 2018/1/28 初レース(新宿シティハーフマラソン10kmの部)。記録は55:53(ネット)。
 1月 月間122km。
 2月 月間188km。
 3月 月間317km。いきなり距離が増えたのは、2月のおわりから1日のランニングを90分にしてみたため(だいたい16〜17km)。
 4月 月間324km。金沢マラソンに申し込む。
 3月ごろからiPhoneのバッテリーが心許なくなってきているので、アプリを動かしながらどのくらい保つものか試してみようと思い5月のある日5時間ランをやってみた(実際には約4時間半で42km走ってへばってしまい、残りの30分は歩いた)。バッテリーはぎりぎり保ち、総走行距離は44.25km。5月は月間377km。
 6月、金沢マラソンに当選する。中旬になんとなく思いつきで、公園のいつものコースを42.195km分ぐるぐると走ってみた。タイムは3:57:42。なんとサブ4。すごい。その後金沢マラソンにむけてNRCのトレーニングプログラムを始めるも、スネに痛みを覚えしばらくランオフ。6月は月間275km。
 7月 月間213km。
 8月 月間283km。
 9月 月間228km。
 10月 月間308km。28日に金沢マラソンに出て完走、タイムは4:05:31(ネット)。惜しくもサブ4ならず、敗因は「念のため」で行った2回めのトイレのせいだろうと思っている。
 11月 月間300km。
 12月 去年買ったシューズで1年走ってしまったので、待望のニューシューズを購入(Asics GELFEATHER GLIDE4)。購入したのはいいが、また足底腱膜炎とかいうのになってしまい一進一退の日々。こんどは靴の裏に石が挟まっているわけでもなく、新しいシューズに慣れてないせいじゃないかなーと。月間257km。

という具合で、まあ走っては故障し、治ったと思ったらまた別の部分が痛み出し、の繰り返しである。原因はといえば、身体ができてないのに調子に乗って走り過ぎた、要はオーバーユースということだと思うのだけど、とはいえ楽ちんなペースで気持ちよく走っているだけでは走力の向上も期待できないのであって、つまり「身体がラク」と「限界以上」のあいだの適度な負荷の範囲を見極めながらトレーニングを継続しなければならないということである。当たり前っちゃ当たり前だが、はじめはそういうことも分からなかったのだ。

というのも、私はジムに入会したりランニングクラブみたいなところで指導してもらったりするわけではなく、本を読んだりネットを見たりして、もっぱら一人で黙々と走っていただけだったので、常識的なことを会得するのにも人より時間がかかってしまうのである。ちなみに参考にしたのは次のような本やサイトである。

 村上春樹走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
 有森裕子有森裕子のマラソンブック フルマラソンで4時間を切る!
 江上剛55歳からのフルマラソン (新潮新書)
 金哲彦『金哲彦のランニング・メソッド
 小出義雄30キロ過ぎで一番速く走るマラソン サブ4・サブ3を達成する練習法 (角川SSC新書)
 たかぎなおこマラソン1年生 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
 YouTube『学Run』(日刊スポーツ・ブル男(って何?)による全8回の動画。元陸上選手の西田隆維さんがタレントの松井絵里奈さんにランニングの基礎を教えるという内容)
 NHK-BS「ラン×スマ」
 BS日テレ「サブ4!」
etc.etc...

こう列挙してみて思い起こされるのは、かつて芝居をやっていたときも、いきなり本屋の店長にさせられたときも、私の周りにはそれらを基礎から順序立てて教えてくれる教師役の人はやっぱりどこにもいなかったということだ。そのため私は、演技なり商売なりに役に立ちそうなものを手当たり次第・行き当たりばったりに探し回りながら、自分なりの・自分だけの方法論を手探りで組み立てていかなければならなかったのだが、今回ランニングに関してあらためてそういうプロセスを踏んでみて、まさにこれこそが自分のスタイルなのだなあとしみじみ思ったものだ。

さて表題の「ランニングのための音楽」について。はじめはApple Musicに入っていたワークアウト用のアルバムを適当に選んで聴きながら走っていたのだけど、そのうちに「1.それほどアップテンポな曲である必要はない」「 2.”Put your hands up!”等々という掛け声も要らない(あたりまえだ)」「3.しかしリズムはずっと一定で、長ければ長いほどいい」と思い、普通のロックやポップスよりもそれらの所謂extended versionみたいなものの方が適していると思うようになった。なかでもUnderworldの曲には15分以上あるものもあったりしてすばらしい。曲調もへんに煽らず陰鬱で、同じビートが延々続いているのを聴きながら走っていると「もしかしてコレこのままずっと終わらないのでは…」という絶望的な気分になったりして最高である。

ただiPhoneの電池の関係で、音楽を流しながらランニングアプリを動かすとどうも2時間以上は心許ないみたいで、ハーフマラソン以上の距離を走ろうとすると音楽なしで走る時間が必要になってくる。始めた当初から音楽を聴きながら走るのが常だったので間が持つか心配だったが、なければないでまあなんとかなるもので「イヤホンないと耳が楽だなー」なんて思ったりした(あたりまえだけど)。

走るのは夜明け前の近所の公園のジョギングコースだ。ほかにランナーはいても2、3人で、あとは犬の散歩の人かウォーキングのお年寄り(たいへん多い)。調子のよいときは自分の足の刻むペースで一種のグルーブが生まれるような感覚があったりして、オリジナルのミニマルミュージックを聴いているような気分になるのである。